矢武企画的23年上半期公開映画ベスト15 [中]

ⓒ 石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

早いもので、2023年もあと4ヶ月切り、映画が好きな方々は恒例のベストテンの時期が近づきつつありますね。
矢武企画は、12年から札幌映画サークルさんをはじめ、雑誌など様々なベストテンに参加しています。

現在、23年1月〜6月末までに100作品近くの「23年公開作品」を鑑賞することができました。
その中から、日本映画・外国映画を合わせて、現時点での矢武企画的ベスト15を、3回に分けて紹介させてください!!! 短評というわけではないですがコメントと合わせてまた5本を紹介します。
前回の記事はこちら「矢武企画的23年上半期公開映画ベスト15 [上]」。

【一部作品はすこしだけネタバレ含む場合がございます】

※紹介順は矢武企画の鑑賞順です、順位はつけません。

目次

【日本映画】『BLUE GIANT』 [6/15]

「音が聴こえる」と評される人気コミックス「BLUE GIANT」をアニメーションで映画化。映像作品になので、もちろん音は実際に聴こえるが、生きた音も視えてくる。アニメーションだからこそ表現できる巧みさ、そして映画としても、”想定”を超える完成度だった。やっぱり、ジャズは音も奏者もかっこよい、耳を通じて身体が踊る。田舎から上京したキャラクターの声を俳優・山田裕貴さんが演じるが、優しく性格の元気なヤツ感がぴったし!

【外国映画】『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』 [7/15]

1974年に発売され、世界初のロールプレイングゲームとしても知られる「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を新たに映画化したアクションファンタジー。
世代なのか、筆者はこのゲームをまったく知らず。タイトル的もぴんと来ないから「ふーん」という鑑賞前の気持ち。
ところがギッチョン、日本語吹替版は声優陣がめちゃ豪華で物語が頭に入ってきやすい。どのくらい豪華かというと、主人公たち墓場の死体を荒らしに行くんだけど、その少ししか出演しない死体たちの声に神谷浩史さんや森川智之さんらをキャステイング。もちろん、メインキャストのほとんどがベテラン声の俳優さん。とても聞きやすかった。ストーリーは、コメディタッチなファンタジー冒険活劇なので、ファミリーからカップルまで幅広い客層が楽しめる思う。良い意味で「意外とおもしろい」。本国でも映画ファンや批評家から高評価だった。

【日本映画】『シン・仮面ライダー』 [8/15]

賛否両論が目立った本作。鑑賞した方々のネガティブなご意見は粗方わかる。原作漫画や1971年のTVシリーズ、『シン・仮面ライダー』前日譚にあたるコミックを知らないと伝わらない部分もあったと思う。あと宣伝で、もったいぶり過ぎたかもしれない。
だが、それらを加味しても筆者はとても好きだった。最近の仮面ライダーに無かった「暴力」と「哀愁」が『シン・仮面ライダー』にはあった。あと「シン・シリーズ」の中では、物語の終わり方がとても綺麗に感じ、大事なアイテムのサイクロン号にオートバイって、カッコいいと思えた。完成までに様々な調整があったと思うが、製作陣が出した結果が本作のベストだったと感じている。

どんな『シン・仮面ライダー』を出しても賛否は巻き起きたと思う。ゴジラやウルトラマンと比べて、平成時代のテレビシリーズが続いている分、ほとんどの世代の心に”自分の仮面ライダー”がいる。また、過去にも時代に合わせ、アップロードされたライダー作品が制作され続けているから、これまでの「シン・シリーズ」のように新鮮味を出すこと、みなが納得する作品を提供することは難しかったと思う。それでも、仮面ライダー50周年作品として、石ノ森作品として、日本の特撮ヒーローでは難しいスターシステムを用いたキャスト陣で観ることができて、個人的にはハッピーな時期だった! 『シン・ウルトラマン』(22)に続き、大切な1本になった。
「マスカーワールド/シン・仮面ライダー」(←タイトル表記は想像)として、続編が実現するなら是非とも観たい。

【外国映画】『エスター ファースト・キル』 [9/15]

本編は、ある夫婦が養子として迎えた身寄りのない少女が恐怖をもたらす『エスター』(09)の前日譚。本当は実年齢31歳の共謀凶悪なサイコパス美少女なのに、9歳の行方不明少女に成り済ますエスター役は、現在26歳のイザベル・ファーマンさんが演じる。なんと、前作と同じ俳優さん。テキストで見ると無茶苦茶な設定に思えるかもしれない。ただ、ギャグ抜きで本編は不気味だが筋が通った設定なのだ。そして、まさかな真相でエスターの正体がバレる。養子先の家族がバグっている!!! そのとき、観ているあなたは本作がめちゃくちゃ面白くなるはずだ。

【日本映画】『Winny』 [10/15]

ファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕され、著作権法違反ほう助の罪に問われた裁判で無罪を勝ち取った一連の事件を映画化。監督は、注目の松本優作監督。
観ていて、本当に恐ろしかった。「出る杭は打たれる」ということは、こういうことなんだな、これは現実で起きたことなんだって。「知らないから否定する」という風潮は本当に良くない。
「殺人に使われた包丁をつくった職人は逮捕されるのか」、という考えに基づいたら、開発者が自分の開発したソフトで犯罪行為が発生しても、逮捕されることは考えにくい。なのにどうして本事案が発生したのか・・・。警察がなぜ逮捕したのか、映画の中での理由はわかるが、全体的には釈然とせず、心地悪い空気感だった。ただ、本事案を放任してはいけないと考えた者たちがみんなで闘っていく姿に感服、その件は気持ちいい。

ちなみに、本作は18年に開催された「ホリエモン万博  CAMPFIR映画祭」の“映画企画クラファン大会”でグランプリに輝いたことを起点していて、現在Web3・NFT領域で起業している古橋智史さんが「出る杭が打たれない社会を」というテーマで本作を企画したとのこと。これから、新しいことをしていく方々に観てほしい映画。

Writer/Edit:矢武企画

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